太陽光発電の「自家消費率」とは?

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

これからの家づくりで太陽光発電の導入を検討している方にとって、最も気になるのが「自家消費率」。

自家消費率とは、太陽光発電システムを利用して発電した電力のうち、どれだけ建物内で使用したのかを割合で示したもののことを指します。

 

これは、パネルの積載量と各家庭での電力消費量によって変わりますが、現在は平均して30%程度と言われています。

しかし、家庭によっては日中不在にすることも多く、太陽光発電が発電中の昼間に電力が消費できないこともあって、太陽光発電を導入するメリットがあるのか悩んでしまう方もいるでしょう。

太陽光発電は蓄電池と併用するのがベストですが、予算や設置場所の都合上、難しいケースもあるもの。

 

一体どうすれば太陽光発電の自家消費率を上げられるのでしょうか?

今回は蓄電池がなくてもお得に暮らす方法や太陽光発電の自家消費率を上げるメリットについてご紹介します。

太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひとも知っておいてください。

太陽光発電の自家消費率を上げるメリット

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

太陽光発電システムを使って発電した電力は、これまで「売電」と言って電力会社に売ることで収入を得ることができました。

売電価格が、電力会社から購入する電力「買電価格」を上回れば、お得に太陽光発電を利用できますが、現在の売電価格は買電価格とさほど変わりがないため、売電収入をあてにするよりは「自家消費率」を上げたほうがメリットは大きいと考えられています。

 

具体的にどんなメリットがあるのか、以下を参考にご覧ください。

 

メリット1.電気料金の値上げ時も家計の負担が少なくすむ

皆さんご存知のとおり、電気料金は年々値上がりしています。

電気料金というのは、

 

■基本料金+電力量料金(単価×使用量)±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金

 

という計算がされていますが、電気料金が値上がりする原因の1つがこの「燃料費調整額」というもの。

 

燃料費調整額というのは、発電に必要な液化天然ガス(LNG)などの燃料の価格変動を反映させたもので、石炭や液化天然ガスなど輸入に頼っている日本にとっては、輸入価格が高騰すればするほど値上がりしてしまうというカラクリなんです。

要するに飛行機の「燃油サーチャージ」のようなものです。

 

燃料費調整額が大幅に下がり、電気料金も下がる…ということは今すぐには考えにくいこと。

つまりはこれから上昇し続ける電気料金の値上げにより、家計の負担が大きくなるということです。

 

そこで太陽光発電の出番。

もし家庭の太陽光発電で発電した電力を有効に使う(=自家消費率を上げる)ことができれば、電力会社から購入する電力量を最低限に抑えることができます。

 

そうなれば値上がりする電気料金の負担も少なくすむわけです。

太陽光発電を設置しても損ではなく、むしろ「お得」に感じることが多くなるでしょう。

 

メリット2.万が一のときも安定した電力供給が可能になる

2022年の夏も頻繁に報道された「電力逼迫」のニュース。

需要と供給のバランスが崩れれば、計画停電をせざるを得ない状況になります。

そんな「万が一」のときも、太陽光発電を使った電力の自給自足が可能になれば、安定した電力供給が得られ、不自由ない生活を送ることができます。

 

たとえ蓄電池がなくても、発電量が上がる日中に積極的に電力を使用するなど状況に合わせた暮らしも必要になりますが、それでも安心して暮らせるメリットは大きいと思います。

 

 

メリット3.地球環境保全に貢献できる

太陽光発電は、発電時に二酸化炭素を排出しませんから非常に「エコ」。

しかもエネルギー源が枯渇することのない「再生可能エネルギー」ですから、石油や石炭のように将来的に資源が無くなる心配もありません。

 

これらの理由からも、太陽光発電を使って自家発電をすることは地球環境を守るという取り組みに貢献できます。

社会の一員として、子供が生きる「未来」のために少しでも貢献できればうれしいですね。

太陽光発電は蓄電池がないと意味がない?

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

太陽光発電を設置する際、おそらく誰もが一度は検討する「蓄電池」の導入。

蓄電池があれば、日中に発電した電力を貯めておけるので、日中不在にすることの多い方も自家消費率を上げやすくなります。

計画停電や災害時などの対応もある程度可能ですから、蓄電池があれば安心感は増します。

 

しかし、その一方で気になるのが価格や設置スペースのこと。

また、蓄電池にも寿命がありますからメンテナンスという面でも心配でしょう。

 

太陽光発電と蓄電池を併用しないとなると、やはり自家消費率を上げることはできないのでしょうか?

 

そんなことはありません。もし蓄電池を併用できないのであれば、住まい方を工夫すればいいのです。

ではどうやって蓄電池なしで太陽光発電の自家消費率を上げればよいのか、次節で詳しくご紹介します。

蓄電池なしでも太陽光発電の自家消費率を上げるには?

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

「蓄電池なしでも自家消費率を上げられるの?」

「うちは共働き家庭で日中は不在にしていることが多いんだけど?」

…といった心配な声は実際に多く、だから太陽光発電を導入する意味がないと感じている方もいます。

 

しかし、実は暮らし方をちょっと工夫すれば蓄電池なしでも太陽光発電の自家消費率を上げることは可能です。

具体的にどんな方法なのか、ご紹介します。

 

スマート家電を活用する

近年話題となっているスマート家電。

外出先からボタン一つで自宅のテレビやエアコンのスイッチをオンにできる便利なものです。

 

このスマート家電を活用し、外出先からエアコンを稼働させておくというのも1つの方法。

日中、太陽光発電で発電した電力を使ってエアコンを使い、お部屋の中を涼しく(または暖かく)しておけば、帰宅後はお部屋の中が快適な温度に。

夜間はスイッチをオフにしておけば、購入する電気使用量が減り、節約になるでしょう。

 

ただし、これを実現させるにはお家そのものが「高断熱高気密な家」という前提があります。

暖かさ、涼しさを維持できるような、そんな性能の良い家づくりをすることも自家消費率を上げる大事なポイントです。

昼間に沸き上げるタイプのエコキュートを導入する

一般的なエコキュートの場合、夜間に沸き上げ、それを日中~翌日の夜に使用するというイメージですが、自家消費率を上げたいなら昼間に沸き上げるタイプのエコキュートを導入しましょう。

これなら日中不在で自家消費率がなかなか上がらないという家庭でも、効率よく消費することができます。

 

昼間に沸き上げるタイプのエコキュートは、沸き上げてからそれを使用するまでの時間が短いため放熱ロスを防ぐことができ、効率的。

より快適でエコな暮らしができるでしょう

電気自動車を使用する

国内でも電気自動車の販売台数は増えていますが、電気自動車と太陽光発電を組み合わせて使用するのも自家消費率を上げる方法の1つです。

 

たとえば日中不在時に、電気自動車の充電を行えば、自家消費率を上げることができます。

夕方以降、子供の習い事の送迎で自家用車を使いたい場合など便利でしょう。

 

また、別途機器を導入することで電気自動車が「蓄電池」としても活用することができます。

万が一の停電時に対応できるというメリットもあるでしょう。

スペースの関係で別途太陽光発電と蓄電池を設置できないご家庭は、このような電気自動車を使った蓄電方法も検討してもいいかもしれません。

【注意】低炭素住宅の認定は太陽光発電がないと受けられない!

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

これまで住宅ローン減税やグリーン化事業などの補助金の恩恵を最大限受ける場合に、 要件のひとつとして選択できた「低炭素住宅」の認定が、2022年10月より再生可能エネルギー設備の採用がない住宅は認定を受けることができなくなりました。

 

再生可能エネルギー設備というのは、主に太陽光発電システムのこと。

太陽光発電を導入することで家づくりをする際の補助金を受けることができますから、少しでもこれらの認定補助を受けたい場合は太陽光発電の設置を検討したほうが良いでしょう。

 

太陽光発電の導入に失敗しないために知っておくべきこと

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

これからの時代は住宅も太陽光発電を設置したほうがメリットが多いわけですが、未だに太陽光発電について疑問視する声も多く、これだけメリットがあるよと言われても悩んでしまう方は多いと思います。

太陽光発電を導入し、自家消費率を上げて上手に暮らすためには以下のことも知っておきましょう。

太陽光発電の設置場所に気を付ける

太陽光発電を導入する際は、発電効率を考えてより良い場所に設置することが大切です。

たとえば設置面。

 

南側に設置した場合の発電効率を100%とした場合、南東~南西であれば96%程度。東西なら85%ほど、北側なら66%まで落ちてしまうことがあります。

 

また、周囲の建物からの影響も受けやすいのも事実。太陽光発電は、パネルに太陽が当たることによって発電するため、影になる時間が長ければ長いほど発電効率が悪くなるからです。

影になる面積と発電量が落ちる量は必ずしも比例しませんが、発電した電力を有効活用し、電気料金の負担を減らしたいのであれば、太陽光発電を設置する面や場所について事前に確認することをおすすめします。

安全性を考えた設計をする

太陽光発電を導入する際は、必ず安全面を考慮しましょう。

太陽光パネルは数百kgにも及びますから、屋根ばかりが重いと建物に大きな負荷がかかってしまうからです。

必ずパネル部分の荷重を含めた構造計算を行いましょう。

 

また、屋根材との相性も重要な部分です。

ガルバリウム鋼板など、なるべく軽い屋根材を採用するのもおすすめです。

縦ハゼ葺きのような形状で施工すると、雨漏りのリスクも軽減できるでしょう。

 

このように安全性を考えた設計を行い、太陽光発電を導入しないと、結果的にメンテナンス費ばかりがかかってしまいます。

せっかく電力を自給自足し電気代を抑えられたとしても、家計の負担を減らすことができなくなるので、注意してください。

太陽光発電の自家消費率を上げてスマートな暮らしを!

太陽光発電の自家消費率を上げて電気代を節約!蓄電池なしでも自家消費率を上げるための3つの方法とは?

太陽光発電システムを導入する・しないについては、いまだ賛否両論あります。

実際、

・自家消費できるのか?

・メンテナンスがかかるのではないか?

・雨漏りや耐震性などリスクがあるのでは?

など不安を抱く方も多いでしょう。

 

しかし、結論から言うと、これからの時代は太陽光発電を利用したエネルギーの自給自足が主流になってくるはずですから、家づくりの際に検討しておいて決して損ではないと思います。

 

後付けでも設置できなくはないのですが、コストをはじめ、耐震性や雨漏りのリスクも上がってしまいます。

最初から太陽光パネルの荷重を含めた構造計算を行うことで耐震性も高まりますし、パネルとの相性の良い屋根材を選ぶことで雨漏りや施工不良等のリスクが下がるからです。

 

私たち無添加建築設計では、太陽光発電のリース契約を推奨しています。

太陽光発電を導入しようと思うと、価格的に予算をオーバーしてしまう方もおります。

リース契約なら初期費用0円で導入でき、リース契約期間中であればメンテナンスに関してもばっちり補償してくれます。

購入だけでなくリース契約も視野に入れながら、電力を自給自足する暮らしについて考えてみてください。