家のこと(新築)
2024.9.30. MON
無垢材と合板の違いは?どっちが家づくりにおすすめ?それぞれのメリットデメリットをプロが徹底比較!
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家づくりに使われる合板と無垢材
フローリングや家具など家づくりに使われる木材は、一見同じように見えても大きな違いがあります。
1つは、自然の木から切り出してつくられた「無垢材」。天然の木本来の豊かな香りやツヤなどが特徴で、温かみのある家づくりができます。
もう1つは、複数の木の板を接着剤で貼り合わせてつくられた「合板」。床材の場合、複合フローリングとも言われます。
合板の表面には、無垢材やプリントシートなどを貼り付けられており、いわば人工的につくられた木の板のことです。
この2つのどちらを家づくりに取り入れるかによって、お部屋の雰囲気はもちろん、耐久性や安全性、費用面も大きく変わります。
無垢材か合板か、どちらを家づくりに使用したらいいのか、この違いをしっかり理解しておくことが大切です。
早速次節より、それぞれのメリットデメリットについてご紹介しましょう。
合板のメリットとデメリット
合板は一般的な住宅で床材としてよく使われているので、馴染みのある方も多いと思います。
まずはこの合板のメリットとデメリットを見ていきましょう。
合板のメリット
合板のメリットは、主に以下の3つ。
・無垢材に比べて安い
・床色が均一
・木材自体の収縮がない
合板は、無垢材と違って「工業製品」のような扱いですから、大量生産しやすく、1枚の板が大きいため、材料費・施工費ともに安く抑えられるメリットがあります。
また、自然素材の無垢材と違って収縮することがないため、反ったり割れたりといった心配もありません。
あくまで人工的につくられた板ですから、床色も均一。バリエーションも豊富なため、好みの色を自由に選べるというメリットもあります。
合板のデメリット
合板の大きなデメリットは、安全性。
後ほど詳しくご紹介しますが、合板には木と木を貼り合わせる際に接着剤が使用されており、その成分が私たちの健康に害を及ぼす可能性があるのです。
接着剤に含まれる化学物質は揮発性が高いため、気密性の高い住宅では室内の空気が汚染されやすくなってしまいます。
この汚染された空気を吸い続けることで現れる健康被害のことを「シックハウス症候群」と言って、大きな社会問題となっているんです。
特に小さな子どもや高齢者などがいるご家庭は、注意が必要です。
無垢材のメリットとデメリット
近年、健康住宅に注目が集まり人気が高まっているのが無垢材。
安心して暮らせる家づくりには欠かせない要素となっています。
早速、無垢材のメリットデメリットについてご紹介しましょう。
無垢材のメリット
・調湿性に優れている
・断熱性に優れている
・木そのものの美しさや高級感がある
無垢材の最大のメリットは、木本来の機能性の良さでしょう。
天然木は、私たちの人間と同じ生きているもの。「呼吸」を繰り返すことで、実は余分の水分を吸い、吐き出すことで室内の湿度を調整してくれます。
ジメジメと湿気の多い夏も、喉が痛くなるほど乾燥しがちな冬も快適に過ごせます。
無垢材なら、梅雨時期の床のべたつきも感じないので、裸足で歩くのが心地よいと感じるはずです。
また、断熱性にも優れているのも無垢材の良さ。冬でもスリッパや靴下いらず。ハイハイをしたり床に寝転がったりする赤ちゃんも、無垢材なら一年中過ごしやすいでしょう。
もちろん見た目も、無垢材らしい「温かみ」を感じられるのが魅力。
1つ1つ異なる木の表情、木目は、心に安らぎをもたらしてくれるでしょう。
合板のように人工的なものではないため、時間の経過とともに無垢材の色の変化が楽しめるのも◎。木の香りと美しい見た目は五感を刺激してくれるので、まるで森林浴をしているような気分になります。
特に香りの強いヒノキなどは、ヒーリング効果は抜群。これは無垢材にしかない大きなメリットです。
無垢材のデメリット
気になる無垢材のデメリットは以下の2つ。
・合板に比べて高価
・無垢材の種類によってはキズがつきやすい
無垢材は天然の木が原料ですから、合板のように一定した品質で大量生産するのが難しいため、価格が高くなる傾向があります。
また、同じ無垢材でも硬い・やわらかいなど樹種によって違いがあるため、キズや凹みが生じやすいというのもデメリットでしょう。
特に小さな子どもがいる家庭は、おもちゃを床に落としてしまうなどキズや凹みのリスクが多く、気になる方もいるかもしれません。
一般的に、パインやヒノキなどの針葉樹はやわらかくキズがつきにくいと言われ、ウォールナットやオークのような広葉樹は硬くキズがつきにくいと言われています。
ただし、このような無垢材のキズや凹みは、状態によってはアイロンなどを使って補修することも可能。お手入れが難しいように思える無垢材も、実は合板のように張り替える必要がないので、メンテナンス費がかからないとも言えます。
キズや凹みというのは、無垢材だからこそ生じる「味」。
考え方は人それぞれですが、使い込むほど「味が出て良い雰囲気になってきた」と考えれば、デメリットもメリットへ変わります。
合板の怖~い「シックハウス症候群」の話
合板のデメリットの部分で少し触れましたが、木材同士をくっつける際に使われる接着剤からはホルムアルデヒドなどシックハウス症候群を引き起こす原因物質が含まれていることがあり、人体への影響が特に心配されています。
家づくりをする際は、シックハウス症候群についても理解を深めておきましょう。
シックハウス症候群の症状は?
シックハウス症候群の症状には個人差がありますが、頭痛、めまい、目のチカチカ、吐き気、嘔吐、鼻水、涙が出る、湿疹、のどの痛みなどです。
なかでも自宅で過ごすことの多い主婦や小さな子ども、高齢者に発生する率が高いと言われています。テレワークやオンライン学習をする人も増えたため、誰にでもそのリスクがあると言えるでしょう。
症状の出方は人それぞれで、同じ部屋にいても感じる人とそうでない人がいます。
シックハウス対策法が定められても完全ではない実情
シックハウス症候群の問題が深刻化し、2003年に「シックハウス対策法」が制定されました。これにより、ホルムアルデヒド等の有害物質の飛散量に応じた等級を建材ごとに設定し、その建材の仕様面積の上限が定められたわけですが、「絶対に安全」と呼べるものではないのが実情です。
一般的にホルムアルデヒドの飛散量が少ないもの=F☆☆☆☆(エフフォースター)と表記されますが、飛散量が少ないだけで「ゼロ」ではないからです。
ホルムアルデヒド等は、合板や集成材、壁紙を貼る接着剤、塗料などにも使用されています。壁や床、天井など使用する箇所が増えれば増えるほど、室内に有害物質が飛散する量も増えてしまうのです。
現在では、F☆☆☆☆認定を受けた建材の使用量を制限する法律はないため、無制限で使えてしまいます。知らぬ間に、たくさんの有害物質を体内に吸い込んでいるかもしれません。
合板は安価で品質が安定しているというメリットはありますが、人体への影響は無視できない問題。無垢材のような自然素材を使用することがいかに安全であるか、今一度家づくりの際は考えてみる必要があるでしょう。
高断熱高気密住宅に欠かせない「無垢材」
ひと昔前の家づくりと違い、現在では断熱性や気密性を重視し、より快適な住環境を求める人が増えています。
しかし、高気密高断熱な家の場合、同時に「安全性」も重視しなければ本当の意味での快適さは得られません。
というのも、気密性を高めれば高めるほど、合板や集成材などから発せられる揮発性の有害物質が密閉された空間で充満しやすくなってしまうからです。
現在では、VOC測定と言って専用の測定キットを使って有害物質の発散量を調べることができますが、法律で義務付けられているわけではないため、必ずしも依頼する住宅会社がVOC測定を実施しているとは限りません。
極力、シックハウス症候群などの健康被害のリスクを減らすには、そもそも無垢材などの自然素材を使用した家づくりをすることが大切!
シックハウス症候群は、一度発症してしまうと、もうその家で暮らすことができなくなるほど重度の症状を訴える人もいます。
せっかく建てた家が家族の健康を害する原因になってしまわないよう、合板か無垢材か、建材選びは慎重に行うことをおすすめします。
無垢材と合板の違いを理解して安心安全な家づくりをしよう
今回は質問・疑問の多い無垢材と合板のメリットデメリットについて、詳しくご紹介しました。
どちらも似たような見た目に見えますが、その性質は大きく異なるもの。
特に合板に使用される接着剤から発せられるホルムアルデヒドなどの有害物質は、私たちの体に大きな負担を与えてしまうため注意が必要です。
私たち無添加建築設計では、そこに住む家族の健康を考えた家づくりのため、合板や集成材など少しでも健康に害を及ぼす恐れのある建材を排除した家づくりを推奨しています。
耐久性・安全性に優れた無垢材は、家族みんなにやさしい建材。
実は無垢材からは、抗菌・鎮静などに効果的なフィトンチッドという成分が発せられており、私たちの心と体を守り、健康でいられる室内環境をつくり出しています。
合板と無垢材の違いをよく理解し、本当に安心できる家づくりとは何か?今一度考えてみてください。
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