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2024.9.26. THU
エアコンは畳数だけで選んじゃダメ?絶対得する最適なエアコンの選び方
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エアコンを賢く選ぶ方法を身に付けよう
どこの家にもあるエアコンは、およそ10~13年くらいで買い替え時期が訪れるので、定期的に各メーカーのカタログをチェックする方も多いでしょう。
しかし、エアコンの知識がないと、選ぶときにカタログを参考にするか、家電量販店の担当者に相談するかしかできません。
そこで今回は、エアコンを賢く選ぶポイントをご紹介します。
・カタログを見るときは最大能力値を見て選ぶ
・6畳、10畳、14畳(200V)の中から選ぶ
・畳数表示だけに頼らない
などのようなポイントを参考にしながら、エアコン選びに役立ててみてください。
エアコンの「定格能力値」
この図は、一般的なルームエアコンのカタログを一覧にしたものです。
ご覧の通り、エアコンは、メーカーにもよりますが、6畳、8畳、10畳、12畳、14畳、18畳、20畳、23畳、26畳の9タイプに分かれます。
そしてほとんどの場合、14畳用を境にして電圧が100Vと200Vに分かれます。
メーカーによっては、14畳用のエアコンが100Vと200Vの両方のタイプを販売しているところもあります。
さて、ここで気になるのが、これらの9タイプのエアコンの「能力差」について。
9タイプもあるわけですから、どのような差があるのか気になります。
そこで注目したいのが「最大能力値」です。
この図は、エアコンの畳数別に「定格能力」をグラフにしたものです。
ご覧の通り、畳数が増えれば増えるほど、定格能力も大きくなります。
定格能力とは、そのエアコンが投入できる冷房(もしくは暖房)の標準的な時間当たりの熱量を意味し、これをkwで表記したものを指します。
たとえば6畳用の暖房であれば2.5kw、8畳用であれば2.8kw…というように、対応畳数に比例し増えていきます。冷房も同様です。
「最大能力値」を見ればわかるエアコン選び
では次に最大能力値を見てみましょう。
先ほどのグラフに最大能力値を加えたのがこの図です。
濃い赤で塗られた部分が最大能力値を表します。
図の通り、6畳用も8畳用もさほど変わりないことが分かります。
同様に、10~14(100V)畳は最大能力値がほぼ同じ。
14(200V)~26畳も同じです。
つまり暖房の最大暖房能力値だけで見たら、9タイプもあったエアコンの機種もたった3タイプに分類することができるのです。
①6~8畳用
②10~14畳用(100V)
③14畳用(200V)~26畳用
要するに、10畳用を購入するのも、14畳用(100V)を購入するのも、暖房能力で言えば同じであること。
しかし、実際は対応畳数が大きければエアコンの購入費用も高くなります。
これまで「畳数」だけに頼ってエアコンを選んでいた方は、もしかしたら損をしていたのかもしれません。
見るべきは「最大能力値」であるということを覚えておきましょう。
冷房の場合は最大能力値に上限がある
先ほどご紹介したのは暖房の場合の話。
冷房の場合は、下記の図のように、暖房の最大能力値のようにきれいに反転することはありません。
これはなぜかというと、リミッターカットされているからです。
原付バイクを想像すると分かりやすいかもしれません。
アクセルをマックスまで入れれば60キロ以上スピードを出すことができますが、出ないようにあらかじめ設定されていると思います。
エアコンの冷房も同じこと。過剰に冷えてしまわないようリミッターカットされているので、暖房の最大能力値と反転することはありません。
エアコンを選ぶ際は6畳、10畳、14畳(200V)だけで十分!
これまでご説明したとおり、冷房能力に最大値を求めないのであれば、エアコンは6畳、10畳、14畳(200V)の中で最適なエアコンを選べばいいということ。
無駄に対応畳数が大きい機種を高額な値段で購入する必要はないということです。
その証拠に、多くのメーカーでは26畳用のエアコンが売れ残るようになると、徐々に14畳用(200V)に近しい価格で値下げを行っていきます。
つまり、それだけ26畳用のエアコンは利益率が高いということです。
決してメーカーがだましているわけではないので、カタログをしっかり読み込めばわかることですが、ここまでカタログをじっくり読み解く方というのはそうはいません。
今回ご紹介したように、エアコン販売の“カラクリ”について知っておくと損をしないで済むかもしれませんよ。
エアコンの畳数表示は今の住宅に対応していない
ほとんどの人が6畳用、8畳用といった「畳数」を基準にしてエアコンを選んでいると思いますが、この畳数表示とは一体どこから来ているのかご存知でしょうか。
実は畳数表示というのは、1964年に当時の「木造無断熱平屋住宅」を基準として制定されたもので、その後50年以上もの間、全く変更されていません。
現在では、当時とは比較することができないほど高気密高断熱住宅が増えていますから、対応畳数だけに囚われて選ぶと、オーバースペックになってしまうのです。
よく家電量販店のスタッフに「対応畳数相当か、ワンサイズ大きいものを選びましょう」とアドバイスされることがあると思いますが、これだとまんまとメーカーの策略にはまってしまうようなことになります。
量販店側も売上が欲しいので、対応畳数よりも小さいものは勧めてきません。
畳数ばかりあてにすると、このように損をしてしまうこともあるので気を付けましょう。
冷房については畳数通り必要なことも…
暖房の場合は、畳数通りのエアコンを購入してしまうと、オーバースペックになってしまうことがありますが、冷房に関しては畳数相当必要なこともあります。
たとえば、
・日射遮熱
・天井断熱
・外壁の色
など、断熱性能がしっかりされていない住宅だと太陽熱を直に受けてしまうため、室内に熱気がこもりやすくなってしまうからです。
夏場に「暑いな」とか「冷房の効きが悪いな」と感じる家は、対応畳数通りのエアコン選びをしても決して損はないかもしれません。
ワンサイズ大きいエアコンは燃費を悪くする
家電量販店の担当者から「ワンサイズ大きなものがおすすめ」…なんてアドバイスをされた経験はありませんか?
エアコンの効率から言えば、ワンサイズ大きなエアコンは、決してお勧めできるものではありません。
実は、その部屋に対して大きすぎるエアコンを使うことは、渋滞にはまった時の自動車のトロトロ運転と同じこと。
全く進まないのにエンジンだけかかっているというような状態です。
エアコンに置き換えれば、温度は変わっていないのに、エアコンだけ稼働しているような状態です。
これが最も燃費が悪い!!
その部屋に対して大きすぎるエアコンを選べば選ぶほど、
・初期費用がかかる
・燃費が悪い時間が増え、ランニングコストが上がる
という悪循環が引き起こされます。
エアコンを選ぶ際は、適正な容量のエアコンを選ぶことがとても大切なのですね。
エアコン選びはAPFに惑わされないことが大切
エアコンを選ぶ際に知っておきたいのが、COPとAPFについてです。
COPとはCoefficient of Performanceの略で、定められた温度条件での消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力(kW)を表したものです。
この図で言えば、450Wの電気を使えば2,500Wの暖かさになるという意味。
この場合、定格暖房COP=2,500/450=5.55倍となり、冷房COP=2,200/425=5.18倍となります。
2010年までのエアコンは、上記のように暖房・冷房それぞれでCOPを算出していましたが、2010年以降は「通年エネルギー消費率(APF)」として表示されるようになりました。
APFとは、Annual Performance Factorの略で、一年を通して、ある一定の条件のもとにエアコンを使用した時の消費電力量1kWh当たりの冷房・暖房能力(kWh)を表示したものです
このAPFの数値が大きければ大きいほど、冷暖房効率が高い=性能が良いということ。
自動車で言うと「燃費が良い」という意味になります。
現在販売されているエアコンで言えば、「APF7.3」程度のものが、エネルギー消費効率が良いとされていますが、それはあくまでカタログ上だけのこと。
自動車と同じで、誰が運転するか、どの道を運転するかによって燃費の良し悪しが変わりますから、実際はカタログ上の数値よりももっと燃費が落ちるという認識を持っておきましょう。
実際に売れているエアコンは?
これまでご紹介したとおり、エアコンは単に畳数だけでなく、様々な要素を踏まえて選ぶことが大切ですが、実際によく売れているエアコンとはどのタイプなのか。
それは以下の2つ。
・6畳用
・14畳用(200V)
カタログを比較すると分かりますが、一般的なエアコンは、畳数表示が小さいほどAPFが良い=エアコン効率が良いから。
さらに、100V→200Vに上がると、APFが良くなる傾向が強いので、同じ14畳用のエアコンであれば200Vを選ぶ方がお得なのです。
理想は、最大能力で見た時に、14畳用200Vのエアコン1台で快適に暮らしていけるような住宅をつくること。
エアコン効率を考え、逆算して家づくりをすれば、快適さだけでなく光熱費の削減にもつながります。
「最大暖房能力」には注意しよう
冒頭で、エアコンのカタログで見るのは定格能力ではなく「最大能力」であることをお伝えしましたが、注意して欲しいのが「最大暖房能力」を試験した際の“外気温”についてです。
一般的には、最大能力を算出する場合、以下のような条件で試験を行います。
◎最大冷房能力…35℃
◎最大暖房能力…7℃
冷房の場合の試験条件「外気温35℃」というのは、意外とよくある夏場の気候です。
しかし、暖房の場合の試験条件を見てください。
「外気温7℃」というのは意外と高い設定ではないでしょうか。
寒冷地ではない東京でも、最低気温7℃以下になることはよくあることです。
つまり、最大暖房能力に関しては数値だけを鵜呑みにしない方が良いということなのです。
寒い地域ほど最大暖房能力の補正が必要!
カタログで見る最大暖房能力というのは、寒い地域ほど補正が必要です。
というのも、外気温4℃以下になると“デフロスト”と言って、室外機に霜が付き、部屋にただの風しか出てこない時間が増えてしまうから。
これだと暖房効率が一気に下がってしまうので注意しましょう。
ちなみに、このような“デフロスト”という現象に対応できるのは寒冷地専用のエアコン。
室外機に霜が付いたときに溶かす機能が備わっているため、暖房効率が一気に落ちてしまう心配がありません。
その次に良いのは、各メーカーで販売されている上位機種です。
最大能力値が高いことはもちろんですが、外気温が低いなど寒さへの抵抗力が強いのが下位機種とは大きく違う点です。
上位機種と下位機種どちらがいいか悩んだ場合、寒冷地にお住いの方は低温時の「最大暖房能力」についても考えてみてください。
エアコンは住宅の状況に合わせて適切なものを選ぼう
エアコン選びというのは、単に部屋の畳数だけを見たり、念の為にとワンサイズ大きな機種買ったりするのではなく、住宅の状況に合わせて適正なものを選ぶことが大切です。
カタログだけの数字に惑わされてしまうと、燃費が悪くなり、ランニングコストばかりかかってしまうため、エアコン選びの正しい知識を身に付けるようにしましょう。
私たち無添加建築設計では、気密性・断熱性に優れた家づくりを推奨しています。
今回ご紹介したエアコン選びというのは、実は家づくりの段階から始まっているようなもの。
その家に合ったエアコンを選ぶというよりは、あらかじめ冷暖房効率を考えた家づくりをすることが大切なのです。
なぜなら、どんなに高機能なエアコンを使っても家そのものの気密性や断熱性が低ければ、最大限にその良さを発揮できないから。
エアコンは、各部屋に1台ずつ付けたり高機能なエアコンを付けたりすれば満足のいく冷暖房効果が得られるわけではありません。
実は、小屋裏に1台(冷房用)、床下に1台(暖房用)のエアコンを設置するだけで家全体を1年中温度ムラのない快適な室温にすることも可能です。
「え?たった2台で夏も冬も快適に過ごせるの?」
と思うかもしれませんが、しっかりと断熱性気密性、そして日射取得について正しく計算された家づくりであれば、この噓のような話も本当に実現することが可能です。
たくさんのエアコンを設置して稼働すれば、それだけ燃費も悪くなり費用も高額になるので、家計の負担は増すばかり…。
本当の意味での快適性を求めるのなら、家づくりから見直すことが必要です。
私たちが目指すのは、エアコンがたった1~2台でもストレスフリーで過ごせるような家づくり。
新築に限らず、性能向上リフォームなどで気密断熱改修や窓性能を高めるお手伝いもさせていただいております。
適切なエアコン選びをすることはもちろん重要ですが、より効率の良いエアコン使用をするためにも家づくりから見直してみてください。
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