【以下は雑誌取材時の抜粋記事です】
T様邸の玄関ドアを開けると、かぐわしい木の香りとともに、3歳のオス猫「ちぃ」が出迎えてくれる。
「この家は、『猫御殿』なんです。猫のために建てたんですから」と奥様。ある日、T様ご家族は、旅先でちぃと出会った。家族の一員として迎え入れることになったが、住んでいる仙台のマンションはペット禁止だった。どうしようかと悩んでいたところ、いきなりご主人の東京転勤が決まり、そこからはトントン拍子で物事が進み、気がつけば家が建っていた。
「もともとマンション派で、家を建てるつもりはありませんでした。だから本当に、招き猫というか、間違いなくちぃがこの家を運んできてくれたんだと私たちは思っています」とT様ご夫妻は口をそろえる。
運命的な〝猫御殿”を建てるにあたり、軸に考えたのは「ホテルライク」。木材をふんだんに使いながらも、ログハウスやカントリー調ではなく、洗練された空間にすること。もともと奥様は独身時代、ホテルに泊まるためだけにヨーロッパ各地を旅するほど、ホテルやインテリアが好きだった。
奥様の現在の満足度は90点。「建物は満点なんですけど、まだ自分の理想とするインテリアが完成していないので。そこはちょっとずつですね」と奥様。
ご夫妻が「ここは100点満点だよね」とうなずくのは、キッチン。「もう、大満足。大きさも広さも完璧です。オープンキッチンに見えるけど、作業するスペースがちょっとだけ下がっているので、生活感が隠れるんですよ」と奥様。
もう1つ、ご夫妻が本当にうれしい、と話すのが、においがこもらないことだ。料理のにおいも、犬と猫を飼うことによる“ペット臭”もなく、ご主人のスーツについた嫌な臭いも、部屋にかけておくと、翌日には消えている。「事前に聞いたときは、ちょっと大げさに言ってると思っていたんですけど(笑)。不思議ですけど、これが本当の意味での“健康住宅”ってことなんでしょうね」と奥様。
他にも、娘さんの友達が集まること、マンション時代には悩まされていた結露やカビが今では全くないこと、ご主人が眠れないほど悩まされる花粉症も今年は改善されたこと、同じオール電化でも仮住まい時は月に3万円した光熱費が、現在は約7千円に抑えられていることなど、新居のメリットは数え上げたらキリがない。
「私たちはできるだけ人生をここで完結させることを考えたので、この家に投資をしました」とご主人。ちぃが始めたこの幸せな家の物語は、この先、何十年も続いてゆく。